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山のおもしろ歴史いろいろ
CLIMBING
6)早川村の青年と奈良田村の娘さんの実話の恋愛物語
S1
第6話は、この山歴から入ります。
1975年 私の友人Hの仲間達(Hは当時、既にホンダの契約ライダーとなって、プロのモトクロス選手として活躍しており、モトクロスとロードレースのプロ選手の仲間達がおりました。)その中の1人にTチャンがいたのです。Tチャンとは飲み友達となり、いつしか登山の話が持ち上がり、南アルプスを縦走する事になったのです。広河原から北岳肩の小屋、そして熊の平小屋、さらに三伏峠小屋と、テント泊で進んだのですが、3日目のその夜にチョットした事件が発生しました。すっかり寝込んだ夜間に豪雨が襲って来たのです。テントは流され、体はビショビショで冷えきってくるわで 大変な状況の中、小屋に駆け込みました。囲炉裏をかこんで焚き火をしていた主人に助けられました。
翌日の下山時、御礼として残りすべての食料を差し上げましたが、お陰でザックの方もだいぶ軽くなったので助かりました。ちなみに登山開始時のザックの重さは約30kg、少し高い所にいったん置かないと立ち上がる事が出来ない位です。(シート製のテントに、ジャガイモ、ニンジン、米等、更にはコンロはイタリア製のエバニューの白灯油使用の圧縮式でガスを発生させるタイプ。これだけでも相当重い。)
そして、下山は現在の鳥倉口ではなく、鹿塩から大鹿村を抜けて帰っていったのです。
・・・この経験は、今となっては忘れられない貴重な体験となりました。・・・
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S2
さて、2013年の夏(写真1)(写真2)、38年前にTチャンと縦走したコースを逆に歩いてみたくなった。(と言うよりは乗った事のない身延線と昔乗った事の有る飯田線に乗ってみたかったのです。夏休みをどう使おうが個人の自由、むしろあり得ない事の方がおもしろい。身延線は1時10分、飯田線は岡谷駅から伊那大島駅まで3時30分の乗車です。)
と、その時はその意志が強く出た登山計画でした。田代入口からほどなく入ったヘリポートの広場に車を止め、翌日の朝予約のタクシーで身延線下部駅から甲府に出て、線路をつないで飯田線伊奈大島駅下車。さらに予約のタクシーで鳥倉登山口までアルプスを横断して、二軒小屋から伝付峠で弁当食べて、田代駐車場に戻るという遠大なる登山計画を実行したのです。
前置が長くなりました。本題です。
身延線下部駅から乗り合わせたのは、90才近くになろうかと思うほどのおばあちゃん。聞きますと、早川町雨畑から来て、千葉県の法事に向かうとの事だが、甲府駅で上り特急の乗り方がわからないとの事。新宿駅では下り口で親戚の人が待っているとの事です。特急の乗り場まで案内すると申し出ますと、丁寧な御礼の言葉が返ってきました。話しをしている内ほどなくしますと、妙な事を話し始めました。
それは早川村と奈良田村に伝わる男女の恋愛伝説でした。奈良田の娘さんは村一番の美人でそれは評判だったそうです。村の祭りで知り合った二人は、いつしか村と村の中間にある橋のたもとで逢うようになったそうです。それがさらに深くなり、毎日逢うようになり、やがて青年が来れなくなった時には、青年の早川村の家まで来るようになり、泊まっていくようになったそう。(男女の心は不思議なもので相手が夢中になれば心に響くとは限らないのです。)娘さんがあまりに夢中に毎日来るものだから、ある日青年の家では戸を締めてしまったそうです。ここで帰れば良いのですが、娘さんは戸の隙間から入って来てしまう。ビックリした青年が今度はすべての戸をしっかり締めてしまう。(この時点で男女の心は破局しているはずなのに、無垢な村の娘さんは一心不乱で何も見えない状態になっています。)
ところが、事もあろうに、ただ一ヶ所開いている場所...煙突から真黒になって入って来たものだから、しかも目だけ浮き上り、髪は乱れ、まるで人間とは思えない姿だったそうです。青年はもう気持ち悪くなり、思い悩んだ末に娘さんを殺そうと計画する事になったそう。(言ってみれば青年の方も何も見えなくなっており、おそらく自分が何をしようとしているのかわからなくなっていたと思われます。)
毎日夕刻になると通って来る村と村との間には、木造の橋がかかっており、沢の流れは激流です。(今では奈良田さらにその上流部にダムが建設されており、流れはゆるやかですが、当時は相当な流れだったと思われます。)やってはいけない事の決行日、夕刻には必ず渡る木造の橋の下側からノコギリで切れ目を入れて、重さで折れるようにしたそうです。
そしてその日の夕刻、橋を渡りかけた娘さんは激流に飲み込まれていきました。皮肉にも知り合った頃の二人が、橋のたもとで何時も仲良く楽しそうに話していた姿を何人もの村人が目撃していたといいます。その同じ所で二人は悲劇で幕を閉じる事になったのです。
この男女の事案はその後、警察沙汰になる事もなく月日は流れますが、青年も自らを咎めて亡くなったそうです。両村に語り継がれる悲しくも哀れな真実の伝説です!!...
気が付けば1時間程の乗車は甲府駅に到着し、おばあちゃんを上り特急のホームまで案内して、自らは岡谷方面の特急に乗り込みました!!
今まさに忘れ去られた伝説が 今ここに甦る!!
2023年11月29日
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