山のおもしろ歴史いろいろ

CLIMBING

2023年11月29日

その1 江戸時代(あるいはその前)からあった興味深い話とおもしろ話!!(8/全10話)

その1 江戸時代(あるいはその前)からあった興味深い話とおもしろ話!!(8/全10話)

8)那須井戸沢の遡行

2011年7月26日、那須井戸沢の登攀です。第7話での事前調査は深山湖~大川林道ゲートでのルートでしたが、今回は沼原駐車場~麦飯坂~苦戸川(那珂川源流渡渉)~三斗小屋宿跡(廃村)~木の堰堤手前の樹林帯(テント泊)翌日、堰堤よりの入渓です。朝わかったのですが、丁度この場所はサルの軍団の通勤路になっており、20頭ほどが忙しそうに通り過ぎて行きました。

 さて、今回井戸沢登攀を10題の中に選んだのには理由があるのです。その理由は後半にて!!

 入渓してしばらくすると、15m滝(写真)右側のリッジからの登攀。その後、18m階段状滝・滑滝等、いくつもの滝は比較的登りやすく快適な遡行でした。終盤では、少しのササ藪を歩き、流石山に到達できたのは 12:00頃でした。途中汲み上げた天然水でコーヒーを沸かし、休憩を取っていたその時でした。一瞬何が起きたのかわからない程のカミナリの爆音が炸裂したのです。びっくりの何のって表現が出来ない位のレベルです。直後にカミナリ音の連爆音と豪雨の連合隊の急襲です。過去にも夏の南アルプスで2~3回カミナリと豪雨に襲われましたが、今回は事情が違います。稜線上なのです。逃場はありません。二人で相談の上、大峠まで降りる事にしたのですが、何分にも頭上でガンガン鳴っているわ、豪雨で攻めてくるわ、命からがら中腰で大峠まで来る事が出来たのです。峠では三斗小屋温泉から登って来た3~4人の登山者が青ざめた顔で福島県側に下りていきました。

 一難去ってまた一難とはこの事で、流石山よりほとんど息つく暇もなく沢まで来ることが出来たのですが(峠沢・中ノ沢・湯ノ沢)、大激流です。ザイルを通し命からがら二人で渡る。テントに戻る途中、このルートが会津藩の参勤交代のルートである旨の標示板。いわゆるこの先が三斗小屋宿跡であり、江戸時代は会津藩の宿泊及び休憩所として栄えたとされていたとの事ですが、こんな険しい山奥に参勤交代のルートがあるのは本当にびっくりしました。

 さて、テントまで戻り、ザックを背負い、悠々と戻る予定がとんでもない湯川の大激流。今までの渡渉とはまったくレベルが違います。上流に降った相当な雨量が集中しているのです。普通ではとても渡れる事の出来ない大激流。鉄橋の流された跡もあります。激流の中の岩を掴みながら、生涯で一度であろう体験を成功させました。

 後に続いたKさんの回顧録にはこうあります。
 二人で命からがら沢を越える。今思えば、あの激しい雷雨の中、三斗小屋温泉へ行けば安全であった。

 そして奇跡の生還であったと同時に二度と味えない貴重な体験でした。と!!

※1)私も南アルプスを中心に50年、いくつもの慰霊碑を登山・下山途中にに出合いました。それらのほとんどが晴れの日には澄み切った美しい場所にありました。澄み渡る山の美しさの裏腹に恐ろしさと背中合せの登山なのです。

※2)私自身、南アルプス北岳吊尾根の稜線上に2015年小雨予報だったのでテントを張ったのですが、予想に反し吹雪に襲われたのです。夜間は寝る事もなくテントを守りきり、命が助かりました。豪雪と翌日の晴れ渡った写真を掲載して第8話を閉じます。

その1 江戸時代(あるいはその前)からあった興味深い話とおもしろ話!!(9/全10話)

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その1 江戸時代(あるいはその前)からあった興味深い話とおもしろ話!!(7/全10話)

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